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​「Kawaii国」

2017年 H450×W650×110 ラメ糸、羊毛フェルト、レーヨン糸、毛糸、綿糸 綴織 

私がお相撲さんを初めて見たのは、新幹線の窓から東京の風景を眺めていた時だった。東京駅のホームに力士が立っているのが見えたのだ。私は興奮した。都会的なビルが立ち並ぶ近未来的な駅のホームに、日本の伝統を体現したような力士が立つ光景は現実離れしていた。何より、丸々とした力士がミニチュアのように見えて、なんだか無性に可愛かった。 

 ゆるキャラ、ゴスロリ、アニメ、マンガ…日本のサブカルチャーは今や世界に通用するレベルに成長してきている。「Kawaii」が海外で通じる言葉になるなんて、誰が想像しただろうか。 

 今作品では、相撲や寺院などの日本文化をサブカルチャー的なKawaii姿で表現することで、伝統と新しい文化が融合する日本という国の姿を表現した。 

 

 技法は綴織で、力士の部分だけ糸を盛り上げるパイルという手法を用いている。極限まで糸を盛り上げて立体にすることを目指した結果、力士の顔は10cmほど盛り上がっている。力士のまわしは羊毛フェルト、顔周りにはラメ糸を刺繍するなど特殊な素材を多数使用している。背景のピンクと青のグラデーションは、日本文化の一つである浮世絵の背景を意識した。 

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